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ちょっと割り込み

 投稿者:媼(Owner)  投稿日:2001年 5月24日(木)00時32分35秒
  N人囚人のジレンマ以外のゲームでの群淘汰も,経済学的には意味はあると思いますよ.たとえば鹿狩りゲームの均衡選択なんかでは,KMR(Kandori+Mailath+Rob)式に微小な確率的な揺らぎを考えると残念ながら確率1でrisk dominantな兎均衡に行ってしまうけれど,これを群淘汰で考えると鹿均衡が趨勢になる可能性もでてくるのでは?

蛇足1:現在はKMRが出た頃と違って異OS(労取+媼の略ではない!)間でのファイルのやり取り自体は比較的容易になったけど,異ソフト愛用者間でのやり取りは面倒ですね.TeXとWord,IEとネスケ(ナビゲーター),OEとネスケ(メッセンジャー)….とくにTeX対Wordでは通常は狭い範囲の人としかファイル交換をしないから,群淘汰が働く要素が濃いかも.…なんて書きつつ,媼は今のところ調整ゲームの均衡選択よりもNPD回避のほうが関心あるんですけどね.

蛇足2:下の大浦さんの書きこみに
>詳しくは進化ゲーム研のHP参照
とありますが,進化研のURLは http://qmss.t.u-tokyo.ac.jp/evogame/ です.
 


至近要因と究極要因

 投稿者:大浦  投稿日:2001年 5月23日(水)20時41分26秒
   労取さん、コメントとリクエストありがとうございました。リクエストは2つありますので(自然淘汰の役割と、ジレンマ回避のシナリオ)、話の順番として前者からお答えしたいと思います。

>Selection acting over evolutionary time has constructed the mechanisms we have inherited in the present and it is this set of mechanisms that regulates over behavior--not natural selection directly.

 この部分は進化生物学者が「至近要因」と「究極要因」と呼んでいる議論を、人間の場合にひきつけてToobyたちが紹介したものです。
 たとえば、「車が止まった」という現象のあったとき、その原因として「ブレーキを踏んだからだ」「信号が赤だったからだ」「信号が赤なのに止まらないと危険だからだ(生存上不利だからだ)」といった、水準の異なる説明が考えられます。これは後者がそれぞれ前者の理由付けになっているのですが(止まったのはブレーキを踏んだからで、ブレーキを踏んだのは信号が赤だったからで、信号が赤だとブレーキを踏むのは、信号が赤のとき止まらないと危険だから)、これらの要因のうち現象に近い要因を「至近要因」、遠い要因(のうち特に適応的意義にかかわる要因)を「究極要因」と呼んでいます。

 別の例をあげますと、なぜ春になると小鳥が鳴くのかというという問いに対して「春になり日長が長くなると、性腺刺激ホルモンの分泌が活発となり、このホルモンの働きでさえずりが始まるのだ」と答えれば、これは至近要因による説明を行ったことになります。一方、「春に繁殖をはじめることは他の季節に繁殖をはじめるよりも、子供の成長の期間を十分に取れる点で繁殖戦略上有利である。それゆえ、春にさえずることが最適の戦略なのだ」と答えれば、これは究極要因による説明を行ったことになります。
 実際にはこれらの要因は両方がそろってはじめて、さえずりという現象を実現させることができます。春になって小鳥が鳴くのは、日長の伸びに反応してホルモンを分泌するシステムを小鳥が持っているからであって、「いま繁殖すると有利だ」ということを小鳥が計算しているわけではありません。しかし、なぜ小鳥が日長に反応してホルモンを分泌するシステムを持っているのかというと、それはそのようなシステムを持っている小鳥の方が、持たない小鳥よりも有利であったためで、さもなければそのようなシステムは進化しなかったはずです。(余談ですが、日長に反応するシステムの方が、他のシステム、例えば気温に反応するシステムよりパフォーマンスがいいようです)
 実際の現象をもたらすのは至近要因ですが、至近要因が存在するのは究極要因があるからです。逆にいうと、自然淘汰の作用(Selection acting over evolutionary time =究極要因)は至近要因(the mechanisms we have inherited in the present)を介して、間接的に(not directly)、現実の個体の行動を制御(regulates over behavior)しているということができます。

 以上は進化生物学の一般論ですが、最近Cosmidesの一派は「社会的ジレンマ回避モジュール」というシステムの存在を仮定して、人間におけるジレンマ回避問題にアプローチしようとしているようです(山岸 2000)。「社会的ジレンマ回避モジュール」とは、「裏切り者探知」と「互恵的感情」を主要コンポーネントとするモジュールとして想定されていて、前者はいわゆる「4枚カード問題」、後者は山岸らがおこなってきたジレンマの実験的研究から存在が推定されていますが(詳しくは進化ゲーム研のHP参照)、これは至近要因によるジレンマ回避の説明の試みといえます。
 それ自体は多分正しい推論だろうと私は思いますが、彼女らのシナリオには、そのようなモジュールがなぜ存在するのかという、究極要因についての説明が欠けています(試みていますが不十分です)。これは遺伝モデルのレベルで、ジレンマ回避のモデルを立てることと等価になりますが、この作業が私が進めつつある作業ということになります。至近要因を正しく推定できれば、もとの問題を「そのような至近要因を進化させた究極要因は何か」、という問題に帰着させることが出来ます。「最終ライン(遺伝レベル)に問題をバックパスして処理する戦法」というのは、こういう作戦のことを意味します。

 で、最終ラインで処理する手立ては、ということになりますが、長くなりましたので(別に隠しているわけではないのですが 笑)、また今度ということにしたいと思います。
 
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一橋のサーバー停止中

 投稿者:媼(Owner)  投稿日:2001年 5月23日(水)16時37分14秒
  現在一橋のサーバーが停止中です(←さきほどの停電が原因?).情報処理センターにあった張り紙によると,今日中の復旧は無理とのことです.あしからず.

このページにアドレスを載せている媼の大学用メールも不通です.さらに自宅用メールまで「研究室で読めるように」と転送してあったので,今日いただいた分はサーバーが復旧するまで読めません.今自宅アドレスの転送を解除したので,媼に急用の方はお手数ですがもう一度自宅アドレスのにメールください.すみません.
 
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群淘汰:続きの続きの続き

 投稿者:労取  投稿日:2001年 5月23日(水)07時01分15秒
  大浦さん。
言い忘れたのですが、大浦さんは「群淘汰に関してPriceのモデルを壊して、社会的ジレンマを回避する方法が考えられる。それはいずれ紹介する。」とおっしゃって、私の申し上げた「マッチしたゲームが継続するかどうかが、人間の場合には問題である」という点を、その一例として上げていただきました。
私も(たぶん、このBBSの大勢のROMも)社会的ジレンマの回避という形であれ、群淘汰に多大の関心を持っておりますので、Priceの理論を乗り越えるために大浦さんが持っておられるいくつかのアイディアを(公開可能な範囲で結構ですから)お教え願えれば幸いです。
なお、「適応と展開型」の投稿で、「進化経済学者は」と書きましたが、これは、「進化ゲーム研究者は」の間違いです。お詫びして訂正しておきます。
 
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