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ケジメさん御苦労様でした

 投稿者:鹿鳴草香子  投稿日:2001年 6月 1日(金)15時48分6秒
  KOの講義ありがとうございました。毎回出られなかった悪い学生(?)ですが、エッセンスはわかったと。。。思います。いろんな大学院の人が来ていて、うちの院生にも刺激になったのではないでしょうか。これからもっと勉強します。  


私が先読みを重視していると

 投稿者:労取  投稿日:2001年 5月31日(木)11時57分41秒
  大浦さんはおっしゃっていますが、たぶん私の言い方が悪かったのだと思いますので、少し訂正かたがた投稿させてください。
その前に、まずまたまた丁寧な解説をしていただいた大浦さんに大変感謝します。
さて、先読みについて。私自身、もう少しきちんと考えようと思っていますが、第一感は次のようなモノです。
先読みという行動は、演繹的な考え方に基づいて行動選択を行う場合と、帰納的な考え方に基づいて行動選択を行う場合の二種類に大別できるのではないかと考えます。前者の考え方を、進化的に考えることは極めて困難であり、大浦さんが第一水準のモデルに入れないと言うことは十分に理解できます。他方、帰納的な考え方に基づいても、「先読み」に類する行動がでてくると思います。つまり、ある社会的文脈の下で、一定の行動選択を迫られた場合、過去の事例との類似性やアナロジーに基づいて、自分にとってより望ましい行動をとることが、遺伝的に(展開型として)説明できるのではないかと考えているわけです。これが私が前回のメイルで、

>現実の人間は、限られたリソースを使ってできるだけ自らの満足度を高めるよう、bounded rationalに行動していると私は考えます。

と書いた理由です。念のために付け加えれば、上記の考え方の根底にあるのは、Gilboa and Schmeidler "Inductie Inference: An Axiomatic Approach" June 1999 mimeo.などの考え方です。こう考えても、やはり進化論で説明するのは、むずかしいでしょうか?
 

ケジメさんの講義は

 投稿者:媼(Owner)  投稿日:2001年 5月29日(火)15時59分55秒
  とても刺激になりました.まだよく飲み込めてない部分もあるけど,これから少しづつ考えていけばいいんだと思います.どうもありがとうございました.

ところで「純米ケジメ」は「すみごめ卦占」じゃないんですか?新米マジメ(あらごめ間占)さんと,絶妙な組み合わせだと感心してたのに….

土曜深夜にメール経由でウィルスに侵入されました.頭に血が上って「過去2日間に作成・変更されたファイル」なるものを検索して片っ端から削除してしまった2次災害で,Windowsが起動不能に(T_T).復旧に丸1日かかりました.Windowsの再インストール→パーティションが壊れてLinux消滅→Linuxの再インストールという最悪のシナリオは免れたけど,ゆうべ気付いたら結構重要なメールを紛失してました.土曜にメールくださった皆さんごめんなさいm(..)m
 

Durlauf and Young (2001)

 投稿者:媼(Owner)  投稿日:2001年 5月29日(火)15時26分25秒
  "Social Dymamics" MIT Press という本(論文集っぽい)を,たった今国立の銀杏書房で見つけてgetしてきました.中身は

1. The New Social Economics (by Durlauf and Young)
2. The Interactions-Based Approach to Socioeconomic Behavior (by Blume and Durlauf)
3. Policy Intervention Low-Level Equilibria and Social Interactions (by Moffitt)
4. Measuring Social Interactions (by Glaeser and Scheinkman)
5. The Dynamics of Conformity (by Young)
6. Individual Interactions Group Conflicts and the Evolotion of Preferences (Bowles)
7. The Emergence of Classes in Multi-Agent Bargaining Model (by Axtell et al.)
8. The Breakdown of Social Contracts (by Binmore)

です.
 

事後修正

 投稿者:ケジメ  投稿日:2001年 5月29日(火)10時43分46秒
  先日、やっとKO大学の連続講義が終りました。 話があまり良くまとまらなかったので、出席者の一部の人はイライラしたようで、申し訳ありません。 たまには発散形の講義も良いのではないかと思いますが、自分が学生だったら不愉快になるかも知れませんね。発散形で尚且つ最後は起承転結の結に収束するようにできたらと思います。
  その日、媼さんをふくめて数人で飲みに行って、「先生」をどうするかという話題になりました。それで、本名でなくハンドルネームを使ったほうが良いということになりました。それで、「さん」に統一できると。
  それでその場にいたフィロカワさんは「緑川」、私は「ケジメ」ということになりました。
因みに、これらの名前には姓があり、各々大吟醸、純米(スミゴメでなく、ジュンマイと読む)となっています。フィロカワさんは既に心変わりをしてしまいましたか ?
  大浦さんと労取さんが二人で難しい話に盛り上がっているのですが、すこし抽象的なので、こういう「先読み」と「経験からの学習」と「事後修正」の具体例の話も悪くないでしょう。(言葉遊びをするなと怒らないでください −− これが私の楽しみなのだ)
 
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先読みと事後修正

 投稿者:大浦  投稿日:2001年 5月28日(月)20時38分57秒
   大浦です。

 不自由な環境でのコメントありがとうございました。
 第1水準モデルは、あくまでベースラインで、これにいろいろな要素が付け加わって、より現実的なモデルになっていくのですが、第1水準モデルに含まれていない要素をあらかじめ確認しておきましょう。
 まず社会的ジレンマ回避関連のメカニズムは(少なくともデフォルトでは)含まれていません。第1水準のモデルは「さまざまな環境下で効率よく自己利益を実現するための仕掛け」を一義的には表現したものです。ジレンマ回避の仕掛けは第2水準のモデルに含まれます。
 それから、先読みの要素もデフォルトでは入っていません。それに関連しますが、「目標を設定して、それに向かって努力する」という主意主義的な要素(あるいは目的論的な要素)もはいっていません。主意主義的な要素はジレンマ回避と並んで(おそらくは関連して)人間行動を特徴付けるものなので、入れたほうがいいのですが、とりあえず入れてません(先読みアルゴリズムの一部を利用したオプションと考えることができますが、複雑なのでとりあえず置いてあります)。

>現実の人間は、限られたリソースを使ってできるだけ自らの満足度を高めるよう、bounded rationalに行動していると私は考えます。

 という記述から察すると、労取さんは「先読み」のファクターをかなり重視されていると推測されますが、私は「先読み」と「事後修正」では7:3ぐらいで「事後修正」の方が重要だろうと考えています。
 実際に人はあれこれ先読みを行いますが、よほど状況が自明な場合を除いて、それはある程度の推論の域を出ることはないようです(少なくとも私の場合はそうです)。で「こうかな」ぐらいで行動してみてうまくいけばそれで次からは自信を持って行動できますし(強化)、うまくなければ「なぜかな」と考えて手を変えたりするでしょう(修正)。
 おそらく、先読みによる予想は「弱い行動の指針」で、実際の行動の結果の方が「強い行動の指針」として一般に採用されているのだと考えられます。適切な戦略修正アルゴリズムを用いれば、比較的すみやかな試行錯誤で、「あたかも自らの満足度を高めるよう、bounded rationalに行動しているかのように見える行動」を取ることは出来ると期待できますし、そちらの方が真相に近いのではないかと私は考えています。

 そんなわけで、第1水準のモデルに「戦略修正アルゴリズム」は必須の要素として入れてありますが、「先読み」の方は重要度が落ちるので後回しにしてあります。
 それから「究極要因」とは「淘汰圧」とほぼ同値な概念です(正確には、そのような淘汰圧をもたらす要因)。ある「戦略修正アルゴリズム」の形成をうながした淘汰圧(をもたらした要因)が「究極要因」です。水準が違う概念ですので別にしてあります。

 

戦略修正アルゴリズム

 投稿者:労取  投稿日:2001年 5月27日(日)22時48分1秒
  大浦さん。またまた丁寧な解説ありがとうございました。
自宅のインターネット接続が壊れてしまい、携帯電話からの接続で満足なお返事ができないことをお許しください
大変明快な解説で勉強になりましたが、人間行動を考える場合、まず第一に、究極要因と戦略修正アルゴリズムを分ける必然性がどこにあるのかを教えて戴けないでしょうか?どちらも、大浦さんご自身がかかれているように生物学(遺伝学)的要因によるモノですし、淘汰圧として作用するという意味でも私には同じように聞こえるのですがいかがでしょうか?
もう一つの質問は、大浦さんがこのモデルでは「人間の先読み行動を考慮していない」と言われる点に関わっています。大浦さんの第一水準モデルは、私の理解ではOver-socialization型のモデルで、遺伝子と環境(及び文脈)で、人間の行動すべてを説明しようとするモデルになっています。しかし、現実の人間は、限られたリソースを使ってできるだけ自らの満足度を高めるよう、bounded rationalに行動していると私は考えます。文脈を無視したunder-socialization型でもなく、Over-ocialization型でもない、しかも、進化生物学を重視した人間行動を作ること。そこら辺のところを考えたモデルはあるのでしょうか?(実はそこが、私や媼さんや東大のw君などが、一番関心を持っているところなのですが・・・)
 
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後半

 投稿者:大浦  投稿日:2001年 5月25日(金)16時49分21秒
 
 以上からヒトのモデルを図式化すると

   究極要因→戦略修正アルゴリズム→条件付戦略→行 動
   (淘汰圧)          ↑     ↑
                 経 験   条 件 

のようになるでしょう。「条件付戦略」の部分が狭義の至近要因、究極要因のあと、行動の前のすべての要因が広義の至近要因ということになります。
 この図には「先読み」のファクターが入っていませんので、ヒトの行為モデルとしてはまだ不十分ですが、先読みの話をすると煩雑になりますのでとりあえずおいておきます(ちなみに、先読みアルゴリズムは、条件付戦略のあたりに外付けされるオプションのようなものと考えられます)。
 
 このような図式を考えると、「戦略修正アルゴリズム」が実際にどのようなアルゴリズムであるのか、という点に興味が持たれます。これは理論・実証の両面からのアプローチが可能で必要な課題ですが、いまのところ実証的なデータは予備的なものしかありません(鈴木さんが触れている、鹿狩り実験のデータ。HP<00/12/23の条>参照。本格的なデータ収集は企画中です)。
 一方、理論的には「進化的に安定な戦略修正アルゴリズム」とはどんなものかを考えることが可能です(HP夏休み講座第6回参照)。それによると「進化的に安定な戦略修正アルゴリズムがあるとすれば、それは進化的に安定な戦略の習得を可能とするものだ」という結果が得られます。これから、現実に流布している戦略修正アルゴリズムが進化的に安定なアルゴリズムであるとするならば、そのアルゴリズムの作用で形成される(実際に使われている)条件付戦略もおおむねESSと一致しているだろうという予想が導かれます。これがメイナード・スミスが最初に進化ゲーム理論を立ち上げたときの目論見だったと思われます(『進化とゲーム理論』4章参照)。
 
 大体、このような考察が「ヒトのプラン」の第1水準のモデルとなります。
 

第1水準モデル前半

 投稿者:大浦  投稿日:2001年 5月25日(金)16時48分45秒
   大浦です。

 進化ゲーム研のHPは、「過去の研究会の内容」というところに主要な情報がまとめられています。これは、毎週の研究会の内容を私がまとめたもので、そのつど書いて年代順に並べてあります。『社会的ジレンマ』の紹介は、<01/4/21の条>にあったと思います。ちなみに『心の先史時代』の紹介文もどこかにあります(笑)
 本当は内容別に並べた方が見やすいのですが、毎週追加していく便宜を取って単に発表順に並べてあります。そのかわり、キーワードを入力して検索できるようになってますので、そちらもご利用ください。

>進化による究極要因→至近要因→行動選択という図式では、すべては説明できません。

 すべてを説明できる理論というのは、多分無理でしょうし、そういうものを作ろうとも思ってはいないのですが、このような図式を念頭に置いて考える事はそれなりに役に立ちます。
 人間に関しては、至近要因は少なくとも2段階に分割できると思われます。私の定式化では、「戦略修正アルゴリズム」という概念がここでのキーコンセプトになります。至近要因という用語は、Tooby が正しく表現しているように「至近メカニズム」と言ったほうが、本当は適切なのですが、「日長が長くなれば、ホルモンを分泌する(さもなければ分泌しない)」「知り合いから頼まれば知人を紹介する(さもなければ紹介しない)」という条件付戦略を実行するなんらかの機構であると考えられます。
 ここで、前者と後者ではその機構に若干の違いが存在します。前者は日長に反応する生理的なシステムが、条件付戦略の発動にあたっていますが、この生理的なシステム自体は遺伝的なプログラムにしたがって形成されたものです。これは、条件付戦略そのものが遺伝的に直接制御されているケースと解釈できます。この場合は、遺伝的な変化をもたらす究極要因(これはイコール淘汰圧と考えて差し支えないですが)が、条件付戦略(の発動をつかさどる生理的な機構=至近要因)の進化をもたらし、この条件付戦略に従って実際の行動が発現していると考えられます。
 一方、後者の条件付戦略は神経生理学的なメカニズムが発動を担当しています。神経生理学的なメカニズムは、通常の生理学的メカニズムより大きな可塑性(いわゆるシナプス可塑性)をもっている点に特徴があります。この可塑性のおかげで、それのつかさどる条件付戦略自体も柔軟に変更することが可能になります(たとえば、知り合いでは無い人の依頼でも知人を紹介する、どんな人の依頼でも知人を紹介しない、などの戦略にシフトすることも潜在的に可能)。
 このシナプス可塑性にもとづく条件付戦略の修正は、具体的には「発火の回数の多い経路ほど、シナプスが増える」「フィードバック信号と出力信号の誤差が小さくなる方向に結合が強化(あるいは抑制)される」などの機構によって生じているようです。これらのシナプスの性質自体は、遺伝的にコードされていると考えられますので、(条件付戦略そのものはそうではないのですが)条件付戦略を修正していく手続き(=戦略修正アルゴリズム)は、遺伝的な制御を直接受けていると考えられます。
 前者(小鳥)のシステムでは条件付戦略そのものが遺伝的に決定されていたのに対し、後者(ヒト)のシステムでは、戦略修正のアルゴリズムが遺伝的に決まっているだけで、実際に発動している条件付戦略は、(おおむね他の個体からインストールされる)初期戦略が戦略修正アルゴリズム(とその個体の諸々の経験)にしたがって修正されて形作られている、という違いがあると考えられます。
 

行動選択と社会的文脈

 投稿者:労取  投稿日:2001年 5月24日(木)08時03分37秒
  大浦さん。またまた丁寧なご説明ありがとうございました。進化研URLのどこをみたらよいのかわからないので、場所も教えてください。
さて、私がお聞きしたかったこともまさに、究極要因からどのようにして至近要因が生まれてくるかということでした。つまり私は、人間行動の多くは「文脈」という至近要因に依存しると考えています。たとえば、知り合いにお頼み込まれると、知人を紹介するけれど、赤の他人にはそんなことはしません。このような行動を繰り返しゲームで説明できるけれど、現実の自分はそんなことを考えて知人を紹介しているわけではありません。
上の例では、友達に頼まれるというのが至近要因で、その根元にある人間(社会)の進化過程で、このような「至近要因依存型行動様式」の社会的適応度を高める進化が起こった(究極要因)のではないのかと思っているわけです。ただし、人によって、誰に頼まれても知人を紹介する人から、誰に頼まれても知人を紹介しない人もいるわけで、進化による究極要因→至近要因→行動選択という図式では、すべては説明できません。
私は人間行動は、限定合理性(リソース不足で不可能だが、できるだけ合理性、従って効用最大化を目指している)を満たしていると考えているので、上記の社会全体の文脈依存型進化要因や個人の体験(ラーニング)が生み出した文脈依存型要因が上記の効用の一部を生み出し、他方、当該経済活動が生み出す物質的な利益が効用の別の部分を構成すると考えています。それで、文脈依存型行動がもたらす効用(「心理的効用」とでも呼びます)と当該経済活動自体での行動選択が生み出す効用(「物質的効用」とでも呼びます)のある種の和を、限定合理的人間は最大化しようとしているのではないかと思います。
ついでながら、それが媼さんのいうOS論文です。
いずれにせよ、大浦さんの最終ラインでの処理の手だて、キリンのように首を長くして待っています。
 
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